99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

99回薬剤師国家試験 問199
84歳男性。急性膵炎で緊急入院し、注射用ナファモスタットメシル酸塩10mg を投与することになった。
ナファモスタットメシル酸塩製剤に亜硫酸塩を含む注射剤を混合した場合、及び混合しない場合の残存率の経時変化を求めた(図1)。また、pH と分解速度定数との関係も求めた(図2)。これらのデータから考えられることはどれか。2つ選びなさい。ただし、これらの実験は37℃で行った。

 

99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

 

1 残存率の対数と時間との間に直線関係が認められることから、2次反応とみなすことができる。

 

2 残存率R(%)と分解速度定数k の関係は
99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

 

3 亜硫酸塩なし、pH 5〜7の範囲において、加水分解反応は酸触媒作用により促進される。
4 亜硫酸イオンは、触媒作用により分解速度を増大させる。
5 図のデータから加水分解反応の活性化エネルギーを求めることができる。

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99回薬剤師国家試験 問199 解答解説

 

◆ 1,2について
1 × 残存率の対数と時間との間に直線関係が認められることから、2次反応とみなすことができる。
→ 〇 残存率の対数と時間との間に直線関係が認められることから、1次反応とみなすことができる。

 

2 〇 残存率R(%)と分解速度定数k の関係は
99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

 

99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

 

詳細は下記のリンク先を参照
99回問199の1,2

 

 

◆ 3について
3 × 亜硫酸塩なし、pH 5〜7の範囲において、加水分解反応は酸触媒作用により促進される。
→ 〇 亜硫酸塩なし、pH 5〜7の範囲において、加水分解反応は塩基触媒作用により促進される。

 

図2の亜硫酸塩なしのグラフより、
pHの上昇に伴い分解速度定数は上昇している。

 

99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

 

よって、
亜硫酸塩なし、pH 5〜7の範囲において、
この薬物の加水分解反応は塩基触媒作用により促進されるといえる。

 

 

◆ 4について
4 〇 亜硫酸イオンは、触媒作用により分解速度を増大させる。

 

図1より、
亜硫酸塩なしのものに比べ、
亜硫酸塩ありのグラフの傾きの方が急である。

 

99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

 

図1のグラフの傾きは−k/2.303なので、
亜硫酸塩ありの方が分解速度定数kの値が大きいとわかる。

 

また、図2より、同じpHにおいて、
亜硫酸塩ありの方が亜硫酸塩なしよりも分解速度定数の値は大きい。

 

99回薬剤師国家試験問199 注射用ナファモスタットメシル酸塩の分解速度

 

以上より、亜硫酸塩の混合により、
亜硫酸イオンの触媒作用により分解速度が増大していると考えられる。

 

 

◆ 5について
5 × 図のデータから加水分解反応の活性化エネルギーを求めることができる。

 

図のデータから加水分解反応の活性化エネルギー(Ea)を求めることはできない。
なお、活性化エネルギー(Ea)はアレニウスプロットから求めることができる。
詳細は下記のリンク先を参照
アレニウスプロットの傾きとy切片 92回問22bc

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
99回問198,199(e-RECさん)

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