擬0次反応とは 速度式,グラフ 物理系薬学

本ページでは、反応速度論の擬0次反応について説明しています。

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ある薬物Aが1次反応速度式に従って分解する場合、
Aの分解反応の速度ν1は次式で表される。

 

ν1 = k 1・C …@
k1:1次反応速度定数 C:薬物の濃度

 

1次反応における濃度と時間の関係式は下記の通り。
lnC = lnC0 − k1・t
C:時間tでの濃度 C 0:初期濃度

 

ここで、ある種の懸濁液のように、
薬物の含量(全薬物濃度:溶解しているものと溶解していないものを合わせた濃度)が
溶解度Cs以上であり、かつ、
溶解速度が分解速度よりも速い場合、
含量が溶解度Cs以下になるまで、
溶解濃度は溶解度Csで一定に保たれる。
その間のAの分解反応の反応速度(ν擬0)は次式で表される。

 

ν擬0 = k1・Cs
Cs:溶解度(飽和濃度)

 

右辺のk1・Csは定数なので、
分解は見かけ上0次反応に従い進行する。
これを擬0次反応と呼ぶ。

 

擬0次反応の反応速度(ν擬0)は次のA式で表される。
ν擬0 =k擬0 = k1・Cs …A
k擬0:擬0次反応速度定数
k1:1次反応速度定数 Cs:溶解度(飽和濃度)

 

k擬0などの見かけの速度定数はkobsと表記されることもある。

 

擬0次反応の含量Cと時間tの関係式は下記の通り。
C = C 0 − k擬0・t
C:時間tでの含量 C 0:初期含量

 

薬物の分解が進行し、
含量(全薬物濃度)が溶解度Cs以下になると、
@の1次反応速度式に従って分解する。

 

下の図1薬物の分解が擬0次反応に従う場合のグラフであり、
横軸は時間、縦軸は含量(全薬物濃度)である。

 

この例では、薬物の溶解度Csは5g/Lであり、
含量が溶解度(5g/L)以上の時は擬0次反応で分解が進行し、
5時間で濃度=溶解度Csとなり、
それ以降、含量が溶解度(5g/L)以下では1次反応で分解が進行している様子を表す。

 

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