可逆反応・逐次反応・素反応の反応速度 85回薬剤師国家試験問22
85回薬剤師国家試験 問22
化学反応に関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 2つの不可逆的な一次反応からなる逐次反応A → B → Cの進行途中において、Bの濃度がAの濃度よりも大となることがある。
b 可逆的な一次反応 P⇔Q が平衡に達するとかならずPの濃度とQの濃度は等しくなる。
c XからZへの多段階反応X →…→ Zの反応速度は、そこに含まれている素反応のうち、最も速く進行する反応できまる。
d 素反応の反応速度は、活性化エネルギーのみによって定まる。
85回薬剤師国家試験 問22 解答解説
◆ aについて
a 〇 2つの不可逆的な一次反応からなる逐次反応A → B → Cの進行途中において、Bの濃度がAの濃度よりも大となることがある。
素反応が1次反応の逐次反応(連続反応)の
A → B → Cについて、
下図のように、
A→Bの反応速度よりもB→Cの反応速度の方が遅い場合、
Bが蓄積するため、Bの濃度がAの濃度よりも大きくなる。
一方、素反応が1次反応の逐次反応(連続反応)の
A → B → Cについて、下図のように、
A→Bの反応速度よりもB→Cの反応速度の方が速い場合、
Bは蓄積しないため、Bの濃度はAの濃度よりも大きくならない。
◆ bについて
b × 可逆的な一次反応P⇔Qが平衡に達するとかならずPの濃度とQの濃度は等しくなる。
可逆的な一次反応P⇔Qについて、
平衡状態においては、
正反応と逆反応の反応速度は等しくなるが、
Pの濃度とQの濃度が等しくなるとは限らない。
可逆的な一次反応 A⇔B について、
正反応と逆反応の反応速度は次のように表される。
平衡状態では、正反応と逆反応の反応速度は等しくなり、
次式が成り立つ。
◆ cについて
c × XからZへの多段階反応X →…→ Zの反応速度は、そこに含まれている素反応のうち、最も速く進行する反応できまる。
→ 〇 XからZへの多段階反応X →…→ Zの反応速度は、そこに含まれている素反応のうち、最も遅く進行する反応できまる。
多段階反応X →…→ Zの全体の反応速度は、そこに含まれる素反応のうち、
最も遅く進行する反応で決まる。
この全体の反応速度を決める最も遅く進行する反応を律速段階と呼ぶ。
◆ dについて
d × 素反応の反応速度は、活性化エネルギーのみによって定まる。
素反応の反応速度は、活性化エネルギーのみによって定まるものではない。
例えば、下記のアレニウス式によると、反応速度定数kは活性化エネルギー(Ea)の他、温度や頻度因子の関数として表されている。