芳香族性を示さないのはどれか 111回薬剤師国家試験問9の解説
111回薬剤師国家試験 問9
芳香族性を示さないのはどれか。1つ選びなさい。

111回薬剤師国家試験 問9 解答解説
芳香族性を示さないのは選択肢3である。

芳香族性とは、π電子が環の上を周回することで、
分子が高い安定性を示す性質のことです。
環状化合物が芳香族性を示す条件は下記の@〜Bの通り。
@ 環を構成する全ての原子がsp2混成軌道をとり、平面構造である。
A 隣り合う原子のp軌道同士がすべて重なり合う。
B 環が4n+2個(n=0,1,2,3…)のπ電子を有する(ヒュッケル則)。
選択肢3(シクロオクタテトラエン)は、
8員環に二重結合が4つある構造です。

シクロオクタテトラエンは、
環を構成する全ての炭素がsp2混成軌道です。
二重結合1つにつきπ電子は2個なので、
シクロオクタテトラエンの環のπ電子数は、
2×4=8個 です。
これはヒュッケル則を満たしません。
さらに、シクロオクタテトラエンは平面構造をとると不安定になるため、
実際には舟形の非平面構造をとります。
したがって、シクロオクタテトラエンは芳香族性を示しません。
以下、他の選択肢について解説します。
1:ピロール
ピロールは、環を構成する全ての原子がsp2混成軌道で平面構造です。
二重結合2つでπ電子4個、さらにNの非共有電子対がπ電子系に参加して2個加わります。

ピロールのπ電子の合計は、
4+2=6
π電子6個なので、芳香族性を示します。
2:チオフェン
チオフェンは、環を構成する全ての原子がsp2混成軌道で平面構造です。
二重結合2つでπ電子4個、Sの非共有電子対のうち1組がπ電子系に参加して2個加わります。

チオフェンのπ電子の合計は、
4+2=6
π電子6個なので、芳香族性を示します。
4:ナフタレン

ナフタレンは環を構成する全ての原子がsp2混成軌道で平面構造です。
二重結合5つでπ電子数は10個ですので、
芳香族性を示します。
5:アズレン

アズレンは環を構成する全ての原子がsp2混成軌道です。
二重結合5つでπ電子数は10個ですので、
芳香族性を示します。