薬物代謝に関する記述 92回薬剤師国家試験問154
92回薬剤師国家試験 問154
薬物代謝に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
a 薬物代謝は肝臓と小腸以外の臓器では行われない。
b 1つの薬物が、シトクロムP450(CYP)に対して誘導作用と阻害作用の両方を示す場合がある。
c CYPには多数の分子種が存在し、基質特異性が高い。
d CYPのうち、ヒトにおける肝臓内存在量が最も多いのはCYP3A4である。
92回薬剤師国家試験 問154 解答解説
◆ aについて
a × 薬物代謝は肝臓と小腸以外の臓器では行われない。
薬物代謝は、肝臓と消化管以外でも、
肺,皮膚,腎臓,胎盤などでも行われる。
◆ bについて
b ○ 1つの薬物が、シトクロムP450(CYP)に対して誘導作用と阻害作用の両方を示す場合がある。
薬物代謝酵素に対して誘導作用と阻害作用の両方を示すものとして、
オメプラゾールやリトナビル,エファビレンツ(ストックリン)などがある。
◆ cについて
c × CYPには多数の分子種が存在し、基質特異性が高い。
→ 〇 CYPには多数の分子種が存在し、基質特異性が低い。
CYPは基質特異性が低い。
1つのCYP分子種が、構造の異なる多くの薬物の代謝に関与したり、
同じ薬物の同一部位や異なる部位の代謝に複数のCYP分子種が関与する。
◆ dについて
d ○ CYPのうち、ヒトにおける肝臓内存在量が最も多いのはCYP3A4である。
ヒト肝臓において、シトクロムP450分子種のうち、
最も多く存在するのがCYP3A4であり、
最も多くの薬物の代謝に関与するのもCYP3A4である。