シトクロムP450(CYP)に関する記述 97回薬剤師国家試験問169

97回薬剤師国家試験 問169
シトクロムP450(CYP)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ヒト肝組織中の存在量が最も多い分子種はCYP2D6である。
2 エタノールの生体内での酸化反応に関与する。
3 グルクロン酸抱合反応を担う主な酵素である。
4 遺伝的要因によりCYP2C19の代謝活性が低い人の割合は、白人と比較して日本人の方が少ない。
5 セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含む健康食品の摂取で、CYP3A4の誘導が起こる。

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97回薬剤師国家試験 問169 解答解説

 

◆ 1について
1 × ヒト肝組織中の存在量が最も多い分子種はCYP2D6である。
→ 〇 ヒト肝組織中の存在量が最も多い分子種はCYP3D4である。

 

ヒト肝臓において、シトクロムP450分子種のうち、
最も多く存在するのがCYP3A4であり、
最も多くの薬物の代謝に関与するのもCYP3A4である。

 

 

◆ 2について
2 ○ エタノールの生体内での酸化反応に関与する。

 

大部分のエタノールは、
アルコール脱水素酵素により酸化されてアセトアルデヒドとなり、
続いて、アルデヒド脱水素酵素により酸化されて酢酸となる。

 

一部のエタノールは、CYPにより酸化されてアセトアルデヒドとなる。
この代謝には主にCYP2E1が関与し、他、CYP1A2,CYP3A4も関与する。
この代謝経路は、ミクロソームエタノール酸化系
(Microsomal Ethanol Oxidizing System,MEOS)と呼ばれる。
なお、CYP2E1はエタノールにより発現が誘導される。

 

 

◆ 3について
3 × グルクロン酸抱合反応を担う主な酵素である。

 

グルクロン酸抱合反応を担うのは、UDP-グルクロン酸転移酵素である。

 

 

◆ 4について
4 × 遺伝的要因によりCYP2C19の代謝活性が低い人の割合は、白人と比較して日本人の方が少ない。
→ 〇 遺伝的要因によりCYP2C19の代謝活性が低い人の割合は、白人と比較して日本人の方が多い。

 

CYP2C19のpoor metabolizer(PM)の頻度は、
欧米人では5〜10%であるが、日本人では約20%であり、
日本人の方が欧米人よりもCYP2C19のPMの割合が高い。

 

 

◆ 5について
5 ○ セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)を含む健康食品の摂取で、CYP3A4の誘導が起こる。

 

セントジョーンズワートにはCYPの発現誘導作用、および、
P-糖タンパク(MDR1)の発現誘導作用があり、
併用薬の血中濃度を低下させ、作用を減弱させるおそれがある。

 

 

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