種々のシトクロムP450分子種の発現を誘導する代表的な薬物 98回薬剤師国家試験問43
98回薬剤師国家試験 問43
種々のシトクロムP450分子種の発現を誘導する代表的な薬物はどれか。
1つ選びなさい。
1 イトラコナゾール
2 エリスロマイシン
3 セファレキシン
4 シメチジン
5 フェノバルビタール
98回薬剤師国家試験 問43 解答解説
種々のシトクロムP450分子種の発現を誘導する代表的な薬物は、
選択肢5のフェノバルビタールである。
フェノバルビタールは、UDP-グルクロン酸転移酵素やCYPなど、
複数種の薬物代謝酵素を誘導する作用、および、
P糖タンパク質を誘導する作用を有する。
選択肢1のイトラコナゾールと、
選択肢4のシメチジン(タガメット)は、
構造中の含窒素複素環の窒素原子が、
CYPのヘム鉄に配位結合して複合体を形成することにより、
CYPによる代謝を阻害する。
この機構によるCYPの阻害は、可逆的な阻害だと考えられている。
選択肢2のエリスロマイシンは、14員環マクロライド系抗生物質であり、
代謝物または代謝中間体がCYPのヘム鉄と共有結合を形成し、
安定な複合体となることでCYPの活性を阻害する。
この機構によるCYPの阻害は、不可逆的な阻害であり、
新しいCYPが合成されるまで阻害が続くと考えられている。
選択肢3のセファレキシン(ケフレックス,ラリキシン)は、
第1世代のセフェム系抗生物質であるが、
相互作用の報告はない。
関連問題
・ワルファリンとフェノバルビタールの相互作用 93回問155d
・フェノバルビタールの酵素誘導を利用した治療,フェノバルビタールはプリミドンの代謝物? 83回問164
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