フェロジピンとグレープフルーツジュースの相互作用の詳細 92回薬剤師国家試験問195
92回薬剤師国家試験 問195
フェロジピンをグレープフルーツジュース(GFJ)で服用すると、降圧効果が変動することがある。この相互作用に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
a GFJ飲用によって、小腸のCYP3A4活性が阻害される。
b GFJ飲用によって、主に肝の薬物代謝活性が阻害される。
c GFJ飲用によって、フェロジピンの降圧効果が減弱する。
d GFJ飲用によって、フェロジピンの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化するが、最高血中濃度(Cmax)は変化しない。
e GFJ飲用は、フェロジピンの血中からの消失半減期にほとんど影響しない。
92回薬剤師国家試験 問195 解答解説
◆ aについて
a ○ GFJ飲用によって、小腸のCYP3A4活性が阻害される。
b × GFJ飲用によって、主に肝の薬物代謝活性が阻害される。
グレープフルーツジュース(GFJ)を飲用すると、
GFJに含まれるフラノクマリン系化合物により、小腸のCYP3A4が不可逆的に阻害される。
これは、フラノクマリン系化合物の代謝物または代謝中間体が、小腸のCYP3A4のヘム鉄と共有結合を形成し、
安定な複合体となることでCYP3A4の活性を阻害する。
この機構によるCYPの阻害は、不可逆的な阻害であり、
新しいCYPが合成されるまで阻害が続くと考えられている。
◆ c,d,eについて
c × GFJ飲用によって、フェロジピンの降圧効果が減弱する。
→ 〇 GFJ飲用によって、フェロジピンの降圧効果が増強する。
d × GFJ飲用によって、フェロジピンの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化するが、最高血中濃度(Cmax)は変化しない。
→ 〇 GFJ飲用によって、フェロジピンの血中濃度時間曲線下面積(AUC)と最高血中濃度(Cmax)は共に増大する。
e ○ GFJ飲用は、フェロジピンの血中からの消失半減期にほとんど影響しない。
ジヒドロピリジン系カルシウムブロッカーのフェロジピン(スプレンジール)は、
小腸と肝臓のCYP3A4で代謝されて不活化するため、
グレープフルーツジュースを摂取すると、小腸のCYP3A4が不可逆的に阻害され、
フェロジピンのバイオアベイラビリティが上昇し、
フェロジピンの血中濃度時間曲線下面積(AUC)と最高血中濃度(Cmax)が増大し、
作用が増強するおそれがある。
グレープフルーツジュースの飲用により、小腸のCYP3A4は阻害されるが、
肝臓のCYP3A4は阻害されないので、血中のフェロジピンの代謝は阻害されない。
よって、GFJ飲用は、フェロジピンの血中からの消失半減期にほとんど影響しない。