モルヒネに関する記述 96回薬剤師国家試験問164
96回薬剤師国家試験 問164
モルヒネに関する記述の正誤について、誤っているものはどれか。1つ選びなさい。
a CYP2D6によるコデインの代謝物である。
b 6位水酸基のグルクロン酸抱合体は鎮痛作用を示す。
c 塩酸塩水和物は錠剤あるいは注射剤に用いられる。
d 経皮吸収型製剤が汎用されている。
96回薬剤師国家試験 問164 解答解説
◆ aについて
a ○ CYP2D6によるコデインの代謝物である。
コデインは、CYP2D6によるO-脱メチル化を受け、モルヒネに変換される。
◆ bについて
b ○ 6位水酸基のグルクロン酸抱合体は鎮痛作用を示す。
モルヒネは、小腸や肝臓において、主にUDP-グルクロン酸転移酵素により3位及び6位のOHがグルクロン酸抱合され、
モルヒネ-3-グルクロニド及びモルヒネ-6-グルクロニドに代謝される。
モルヒネのグルクロン酸抱合体のうち、
モルヒネ-3-グルクロニドは薬理活性を有しないが、
モルヒネ-6-グルクロニドは薬理活性を有する。
◆ cについて
c ○ 塩酸塩水和物は錠剤あるいは注射剤に用いられる。
モルヒネ塩酸塩水和物は、製剤として、
錠剤,原末,カプセル(パシーフカプセル),
内用液(オプソ内用液),坐剤(アンペック坐剤),注射剤がある。
モルヒネ硫酸塩水和物は、製剤として、
錠剤(MSコンチン錠),細粒,
カプセル(ツワイスロンカプセル)がある。
◆ dについて
d × 経皮吸収型製剤が汎用されている。
モルヒネの経皮吸収製剤は販売されていない。
医療用麻薬の経皮吸収型製剤としては、
フェンタニルの経皮吸収型製剤が汎用されている。
また、他のオピオイド受容体に作用する薬物の経皮吸収型製剤としては、
オピオイド部分作動薬のブプレノルフィンの経皮吸収型製剤(ノルスパンテープ)
がある。