87回薬剤師国家試験問28 液体クロマトグラフ法に関する記述
87回薬剤師国家試験 問28
液体クロマトグラフ法に関する記述のうち,正しいものはどれか。
a ベンゼンは,安息香酸と比較してシリカゲルカラムに保持されにくい。
b 逆相カラムを用いた場合,ナフタレンはアントラセンより強く保持される。
c サイズ排除用のカラムを用いた場合,グリシンはアルブミンより遅く溶出する。
d イオン交換用の充填剤の基材には,一般にアルミナが使用される。
87回薬剤師国家試験 問28 解答解説
◆ aについて
a 〇 ベンゼンは,安息香酸と比較してシリカゲルカラムに保持されにくい。
シリカゲルは順相吸着クロマトグラフィーの固定相であり、
極性の大きい溶質ほど保持されやすい。
詳細は下記のリンク先を参照
シリカゲルカラム 87回問28a
◆ bについて
b × 逆相カラムを用いた場合,ナフタレンはアントラセンより強く保持される。
→ 〇 逆相カラムを用いた場合,アントラセンはナフタレンより強く保持される。
詳細は下記のリンク先を参照
逆相分配クロマトでのアントラセン、ナフタレン、ベンゼンの分離 92回問26
◆ cについて
c 〇 サイズ排除用のカラムを用いた場合,グリシンはアルブミンより遅く溶出する。
サイズ排除クロマトグラフィーの原理については下記のリンク先を参照
サイズ排除(ゲルろ過)クロマトグラフィーの原理 97回問97の4
サイズ排除(ゲルろ過)クロマトグラフィーでは、
サイズの小さい溶質ほど固定相ゲルの細孔に入り込むため保持時間は長くなり、遅く溶出する。
グリシンはアルブミンより分子量が小さいので、
サイズ排除(ゲルろ過)クロマトグラフィーではグリシンの方が遅く溶出する。
◆ dについて
d × イオン交換用の充填剤の基材には,一般にアルミナが使用される。
イオン交換用の充填剤の基材には、一般に樹脂やセルロースなどが使用される。
アルミナ(酸化アルミニウム)は順相吸着クロマトグラフィーの固定相として用いられ、
極性の大きい溶質と親和性が高い。
なお、陽イオン交換基と陰イオン交換基については下記のリンク先を参照
陽イオン交換基と陰イオン交換基 98回問4