96回薬剤師国家試験問26 ガスクロマトグラフィー(GC)に関する記述

96回薬剤師国家試験 問26
ガスクロマトグラフィー(GC)に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a 移動相が気体であるため、固定相との吸着・分配平衡に達する時間が短く、高い分離能が得られる。

 

b 熱伝導度検出器を使用する場合には、熱伝導度の大きいヘリウムや水素などをキャリヤーガスとして用いる。

 

c 水素炎イオン化検出器は、有機ハロゲン化合物に高い選択性を示す検出器である。

 

d 質量分析計(MS)を検出器とするGC-MSは、タンパク質などの高分子化合物及び難揮発性物質の分析に適している。

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96回薬剤師国家試験 問26 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 移動相が気体であるため、固定相との吸着・分配平衡に達する時間が短く、高い分離能が得られる。

 

ガスクロマトグラフィーの移動相については下記のリンク先を参照
ガスクロマトグラフィーの移動相 86回問29ab

 

 

◆ bについて
b 〇 熱伝導度検出器を使用する場合には、熱伝導度の大きいヘリウムや水素などをキャリヤーガスとして用いる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
熱伝導度検出器の特徴 96回問26b

 

 

◆ cについて
c × 水素炎イオン化検出器は、有機ハロゲン化合物に高い選択性を示す検出器である。

 

有機ハロゲン化合物に高い選択性を示す検出器は電子捕獲検出器(electron capture detector,ECD)である。

 

水素炎イオン化検出器(flame ionization detector,FID)は、
炭素−水素結合(C−H)をもつ化合物が検出されるので、
ほとんどの有機化合物を検出でき、検出感度は熱伝導度検出器の数千から数万倍である。

 

 

◆ dについて
d × 質量分析計(MS)を検出器とするGC-MSは、タンパク質などの高分子化合物及び難揮発性物質の分析に適している。

 

ガスクロマトグラフィーでは、
試料中の成分は気体である必要があるため、
一般にGC-MSは難揮発性物質の分析には適さない。

 

また、ガスクロマトグラフィーでは、試料注入部は200〜300℃,
カラムは百数十度以上であり、分析対象は高温でも安定に気化するものに限られる。
よって、GC-MSはタンパク質などの熱に不安定な高分子化合物の分析には適さない。

 

ガスクロマトグラフィーの移動相で最も良く用いられるのは窒素ガスだが、
GCとMSのインターフェース部での移動相ガスの除去効率は、ガスの分子量が小さいほど高いため,GC-MSでは移動相としてヘリウムが多用される。

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