GC/MSを用いたNDMAの分析 106回薬剤師国家試験問204

106回薬剤師国家試験 問204
米国食品医薬品局より、ある医薬品の原薬から微量のN-ニトロソジメチルアミン(NDMA、下図)が検出されたとの発表があった。NDMA は発がん性が報告されており、薬物の原薬に混入したり製造工程で生成される可能性がある。そこで、品質管理に携わっている製薬企業の薬剤師は、ガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC/MS)を用いて自社製品中のNDMA の混入を調べることにした。

 

GC/MSを用いたNDMAの分析 106回薬剤師国家試験問204

 

問204(物理・化学・生物)
この分析に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選びなさい。

 

1 移動相(キャリヤーガス)として酸素や二酸化炭素が用いられる。
2 キャピラリーカラムを用いることが可能である。
3 MS におけるイオン化法として、主に電子イオン化(EI)あるいは化学イオン化(CI)が用いられる。
4 MS 以外に水素炎イオン化検出器(FID)を用いてNDMA を検出することも可能である。
5 GC/MS 以外にHPLC/MS を用いることも可能である。

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106回薬剤師国家試験 問204 解答解説

 

◆ 1について
1 × 移動相(キャリヤーガス)として酸素や二酸化炭素が用いられる。

 

ガスクロマトグラフィーでは移動相に窒素、水素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いる。

 

下記のリンク先を参照
ガスクロマトグラフィーの移動相 86回問29ab

 

 

 

◆ 2について
2 〇 キャピラリーカラムを用いることが可能である。

 

ガスクロマトグラフィーのカラムには充填カラム(パックドカラム)とキャピラリーカラムがある。

 

キャピラリーカラムは内径0.3mm前後の管の内壁に固定相として不揮発性液体を塗布したものである。
一般に、充填カラムよりもキャピラリーカラムの方が分離能は高い。

 

キャピラリーカラムの概要(ジーエルサイエンス株式会社さん)

 

 

◆ 3について
3 〇 GC/MSにおけるイオン化法として、主に電子イオン化(EI)あるいは化学イオン化(CI)が用いられる。

 

ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)のイオン化には、
電子イオン化(EI)法または化学イオン化(CI)法が用いられる。

 

なお、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)のイオン化には、
大気圧下でイオン化する方法であるエレクトロスプレーイオン化(ESI)法や大気圧化学イオン化(APCI)法が用いられる。

 

関連問題
液体クロマトグラフィー/質量分析法で用いられるイオン化法 107回問5

 

 

◆ 4について
4 〇 MS 以外に水素炎イオン化検出器(FID)を用いてNDMA を検出することも可能である。

 

ガスクロマトグラフィーの水素炎イオン化検出器は、
C-H結合を有する有機化合物を検出するため、
N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)の検出に用いることは可能である。

 

水素炎イオン化検出器については下記のリンク先を参照
水素炎イオン化検出器(FID)の特徴 92回問25d

 

 

◆ 5について
5 〇 GC/MS 以外にHPLC/MS(高速液体クロマトグラフィー/質量分析法)を用いることも可能である。

 

他サイトさんの解説のリンク
106回問204,205(e-RECさん)

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