液体クロマトグラフィーにより得られたクロマトグラム 108回薬剤師国家試験問99
108回薬剤師国家試験 問99
下図は液体クロマトグラフィーにより得られた成分Aと成分Bのクロマトグラム(模式図)で、ピークAは成分A、ピークBは成分B由来である。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。
2 このカラムの理論段数Nは、(tRA−tRB)/(WA+WB) で与えられる。
3 WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。
4 ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。
5 Rsを大きくするには理論段高さH が小さいカラムを選択する。
108回薬剤師国家試験 問99 解答解説
◆ 1について
1 × ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBのα倍である。
→ 〇 ピークAとピークBの分離係数をαとすると、成分Aの質量分布比kAは成分Bの質量分布比kBの1/α倍である。
ピークAとピークBの分離係数(α)は、
成分Aの質量分布比kAと成分Bの質量分布比kBを用い、
次式で表される。
したがって、
kAはkBの1/α倍である。
分離係数,質量分布比の詳細は下記のリンク先を参照
・分離係数とは 89回問28の1
◆ 2について
2 × このカラムの理論段数Nは、(tRA−tRB)/(WA+WB) で与えられる。
理論段数(N)は下記の式で表される。
理論段数についての詳細は下記のリンク先を参照
理論段数とは 92回問25a
◆ 3について
3 × WAとWBがいずれも小さくなるほど分離係数αは大きくなる。
分離係数とピーク幅は無関係である。
ピーク幅が小さくなるほど、値が大きくなるパラメーターとして、
分離度(Rs)や理論段数がある。
これらの値が大きいほど、ピークがシャープであり、
ピーク同士の重なりが小さいと考えられる。
分離度については下記のリンク先を参照
分離度とは 102回問98の5
◆ 4について
4 〇 ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。
分離度(Rs)が1.5以上の時、2つの成分のピークは完全に分離するとされる。
設問の図より、ピークAとピークBは完全に分離しているので、
ピークAとピークBの分離度Rsは、Rs>1.5である。
関連問題
完全分離や保持時間が同じ場合の分離度 89回問28の2,3
◆ 5について
5 〇 Rsを大きくするには理論段高さHが小さいカラムを選択する。
理論段高さ(H)は、カラムの長さを理論段数で割った値であり、
カラムの分離効率を示す。
理論段高さ(H)が小さいほど、カラムの分離効率が高いことを示す。
したがって、分離度(Rs)を大きくするには理論段高さ(H) が小さいカラムを選択すると良い。
関連問題
理論段高さとは カラムの長さとの関係は? 102回問98の3
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