アセトアミノフェンの純度試験の液体クロマトグラフィー 103回薬剤師国家試験問99

103回薬剤師国家試験 問99
以下は日本薬局方アセトアミノフェンの純度試験(液体クロマトグラフィー)の記述の一部である。
次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

アセトアミノフェンの純度試験の液体クロマトグラフィー 103回薬剤師国家試験問99

 

1 Aの検出器の光源には、通常、キセノンランプが用いられる。
2 Bのオクタデシルシリル化シリカゲルは順相系の固定相である。
3 Cの移動相中のメタノール含量を増やすと、アセトアミノフェンの保持時間は短くなる。
4 Dは、アセトアミノフェン、4-アミノフェノールの順である。
5 Eの条件をみたすとき、分離度が1.5以上であるので、2つのピークは完全分離している。

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103回薬剤師国家試験 問99 解答解説

 

◆ 1について
1 × Aの検出器の光源には、通常、キセノンランプが用いられる。

 

紫外吸光光度計の光源(測定波長200〜380nm)には重水素放電管が用いられる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
紫外可視吸光度測定法の光源 92回問33a

 

 

◆ 2について
2 × Bのオクタデシルシリル化シリカゲルは順相系の固定相である。
→ 〇 オクタデシルシリル化シリカゲルは逆相系の固定相である。

 

詳細は下記のリンク先を参照
オクタデシルシリル化シリカゲルは逆相系の固定相 103回問99の2

 

 

◆ 3について
3 〇 Cの移動相中のメタノール含量を増やすと、アセトアミノフェンの保持時間は短くなる。

 

本問の移動相はメタノールとリン酸二水素カリウム緩衝液の混液である。
緩衝液よりも相対的に極性の低いメタノールの含量を増やすと、
移動相の極性は低下する。

 

逆相クロマトグラフィーで移動相の極性が低下すると、
アセトアミノフェンのように極性の低い(疎水性の高い)化合物は移動相に分配されやすくなり、
結果、保持時間は短くなる。

 

 

◆ 4について
4 × Dは、アセトアミノフェン、4-アミノフェノールの順である。

 

アセトアミノフェンは4-アミノフェノールよりも相対的に極性が低いため、
4-アミノフェノールの方が速く溶出し、
アセトアミノフェンの方が遅く溶出する。

 

逆相クロマトグラフィーでは、
極性の低い(疎水性の高い)溶質ほど固定相に保持されやすく、遅く溶出し、
極性の高い(親水性の高い)溶質ほど固定相に保持されにくく、速く溶出する。

 

アセトアミノフェンは4-アミノフェノールのアミノ基をアセチル化したものであるため、
アセトアミノフェンは4-アミノフェノールよりも極性が低くなっている。

 

アセトアミノフェンの純度試験の液体クロマトグラフィー 103回薬剤師国家試験問99

 

よって、
本問の逆相クロマトグラフィーで分離すると、
相対的に極性の高い4-アミノフェノールは速く溶出し、
相対的に極性の低いアセトアミノフェンは遅く溶出する。

 

 

◆ 5について
5 〇 Eの条件をみたすとき、分離度が1.5以上であるので、2つのピークは完全分離している。

 

分離度が1.5以上の時、2つのピークは完全に分離するとされる。
よって、Eの条件(分離度7以上)を満たすとき、
2つのピークは完全分離しているといえる。

 

分離度の詳細は下記のリンク先を参照
分離度について 89回問28の2,3

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
103回問99(e-RECさん)

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