バリンの薄層クロマトグラフィー 105回薬剤師国家試験問97

105回薬剤師国家試験 問97
以下の記述は、L-バリン(C5H11NO2)の薄層クロマトグラフィー(TLC)に関するものである。

 

バリンの薄層クロマトグラフィー 105回薬剤師国家試験問97

 

このクロマトグラフィーに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 このクロマトグラフィーの分離モードはイオン交換である。
2 試薬Aはニンヒドリンである。
3 L-バリンのスポットは黄色を呈する。
4 試料にL-ロイシン(C6H13NO2)が混在するとき、そのRf値はL-バリンのRf値より小さい。
5 この試験でL-バリンのRf 値より大きなRf 値を与える不純物は、逆相分配クロマトグラフィーにおいては保持時間が一般にL-バリンより大きくなる。

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105回薬剤師国家試験 問97 解答解説

 

◆ 1について
1 × このクロマトグラフィーの分離モードはイオン交換である。

 

固定相にシリカゲルを用いているため、
このクロマトグラフィーの分離モードは吸着である。

 

各溶質と固定相との物理吸着の程度の差により溶質を分離するクロマトグラフィーを吸着クロマトグラフィー(吸着モード)と呼ぶ。

 

シリカゲルは分子表面にシラノール基(Si-OH)を持ち、
水素結合を形成することにより、
極性の大きい溶質を吸着することで保持する(順相吸着クロマトグラフィー)。

 

 

◆ 2,3について
2 〇 試薬Aはニンヒドリンである。

 

3 × L-バリンのスポットは黄色を呈する。
→ 〇 L-バリンのスポットは青〜青紫色を呈する。

 

ニンヒドリン試薬はアミノ酸の呈色反応に用いられ、
1級アミンと反応して青色〜青紫色に呈色する。
ただし、プロリンは2級アミンのためニンヒドリン試薬により黄色に呈色する。

 

 

◆ 4について
4 × 試料にL-ロイシン(C6H13NO2)が混在するとき、
そのRf 値はL-バリン(C5H11NO2)のRf値より小さい。

 

Rf値については下記のリンク先を参照
薄層クロマトグラフィーのRf値 88回問28c

 

シリカゲルを固定相とする順相吸着クロマトグラフィーでは、
極性の大きい溶質ほど固定相に保持されやすく、
極性の小さい溶質ほど固定相に保持されにくい。

 

L-ロイシンはL-バリンよりも側鎖の炭素数が多いため、
L-ロイシンはL-バリンよりも極性が小さい。

 

よって、シリカゲルを固定相とする薄層クロマトグラフィーにおいて、
相対的に極性の小さいL-ロイシンの方が固定相のシリカゲルに保持されにくく、
移動度が大きいため、
Rf値は大きくなる。

 

 

◆ 5について
5 〇 この試験でL-バリンのRf 値より大きなRf 値を与える不純物は、逆相分配クロマトグラフィーにおいては保持時間が一般にL-バリンより大きくなる。

 

シリカゲルを固定相とする薄層クロマトグラフィーにおいて、
L-バリンのRf 値より大きなRf 値を与える不純物は、
L-バリンよりも固定相のシリカゲルに保持されにくく、
L-バリンよりも極性の小さい物質だと考えられる。

 

逆相分配クロマトグラフィーでは、
極性の小さい溶質ほど固定相に保持されやすく、
保持時間は大きくなる。

 

よって、逆相分配クロマトグラフィーでは、
L-バリンよりも極性の小さい物質は、
L-バリンよりも固定相に保持されやすく、
保持時間は大きくなる。

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
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